KEMA Column
夏の韓国、涼を探す旅へ。定番から、人の少ない静かな穴場まで
韓国の夏は、想像以上に暑い。7月から8月にかけては気温が35度に迫る日も珍しくなく、湿度も日本の真夏とよく似ています。それでも、日本からわずか2時間半で行ける「いちばん近い外国」は、夏の旅先として選ばれ続けています。にぎやかな定番スポットから、日本人にはまだあまり知られていない渓谷や竹林、高原まで。今回は、日本から夏の韓国を訪れる方に向けて、「涼」を軸にめぐる旅をたっぷりご案内します。
去年、日本人は韓国のどこへ行っていた?
まず、直近のデータから見てみましょう。2025年に韓国を訪れた日本人は約365万人。コロナ前を大きく超えて、過去最多を更新しました。韓国観光公社は2026年、さらに2割増の450万人を目標に掲げています。「韓国旅行の日常化」という言葉が使われるほど、週末にふらりと海を渡る旅は、もう特別なものではなくなりました。
旅の目的で最も多いのは「グルメ・ショッピング」で約67%。次いで「美容・健康」が約16%と続き、コスメやヘアケアを目当てに渡韓する層の厚さがうかがえます。行き先にも変化があり、これまでの明洞(ミョンドン)一強から、カフェと感度の高いショップが集まる聖水(ソンス)へと人気がシフト。さらにソウル一極集中もゆるやかに崩れ、江陵(カンヌン)や麗水(ヨス)、慶州(キョンジュ)など地方都市へ足を延ばす日本人が増えています。
つまりいま、韓国旅行は「みんなが行く場所」と「まだ知られていない場所」を自由に組み合わせられる、いちばん面白い時期にあるのです。この記事では、その両方をご紹介します。
みんなが集まる夏の定番──漢江の夕涼みと、釜山の海
まずは王道から。ソウルの夏の夕方、漢江(ハンガン)公園の芝生は、レジャーシートを広げる人々で埋まります。デリバリーのチキンを囲み、川風に吹かれながら夜景を待つ──韓国ドラマでおなじみの光景は、旅行者もまったく同じように楽しめます。汝矣島(ヨイド)や盤浦(バンポ)の公園にはコンビニが併設され、ラーメン調理機で作る「漢江ラーメン」は夏の夜の定番グルメ。盤浦大橋の「月光レインボー噴水」が虹色に光るのは日没後です。日中の観光は冷房の効いた美術館やデパ地下にあて、夕方から川辺へ──これがソウルの夏の正しい時間割です。
そしてもうひとつの定番が、釜山(プサン)。韓国第二の都市は、実は屈指のビーチリゾートでもあります。海雲台(ヘウンデ)ビーチには色とりどりのパラソルが並び、遠浅の海は海水浴デビューの子ども連れにも安心。隣の広安里(クァンアンリ)ビーチでは、夜になると広安大橋のライトアップと砂浜のカフェの灯りが重なり、昼とは別の顔を見せます。福岡からは飛行機でわずか約55分、高速船でも渡れる距離感で、日本の週末旅の延長として最も現実的な「海外ビーチ」かもしれません。都会とビーチが地下鉄でつながっている気軽さは、釜山ならではです。
避暑の王道、江原道へ──雪岳山と束草の夏
ソウルの人々が「夏はどこへ?」と聞かれて真っ先に挙げるのが、東の江原道(カンウォンド)です。ソウル高速バスターミナルから束草(ソクチョ)までは2時間半ほど。街に着いた瞬間、空気が変わったことに気づくはずです。目の前に東海(トンヘ)の青い海、背後には韓国で最も美しい山のひとつと称される雪岳山(ソラクサン)国立公園。標高1,708mの大青峰を主峰に、切り立つ岩峰と清らかな渓谷が連なります。日本人観光客の間でも、前述のとおり江原道の江陵などへ足を延ばす流れが生まれており、「ソウルの次」の行き先として注目が高まっているエリアです。
本格的な登山をしなくても、雪岳山の涼は味わえます。ケーブルカーで権金城(クォングムソン)に上がれば、汗をかかずに山上の涼風と、海まで見渡すパノラマに出会えます。麓の新興寺(シンフンサ)までの散策路は木陰が続き、渓流の音が絶えません。下山後は束草の名物、いか飯(オジンオスンデ)やムルフェ(冷たい刺身スープ)を。海と山と食が半径数キロに収まる贅沢は、江原道ならではです。
標高700mの涼しさ──大関嶺、羊と歩く高原
同じ江原道でもうひとつ、日本人にはまだ知られていない避暑地が、平昌(ピョンチャン)の大関嶺(テグァルリョン)です。冬季オリンピックの舞台となったこの一帯は標高700m前後の高原地帯で、真夏でも朝晩は肌寒いほど。「韓国のアルプス」と呼ばれる羊の牧場では、なだらかな緑の丘に羊の群れが点々と草を食み、尾根の上では風力発電の白い風車がゆっくり回っています。木の柵に沿って牧場を一周する散策路は約40分。風の音と羊の鳴き声しか聞こえない時間は、ソウルの喧騒が嘘のようです。
アクセスは、ソウルからKTX(高速鉄道)で珍富(チンブ)駅または江陵駅へ約1時間半、そこからタクシーやバスで30分ほど。江陵のコーヒー文化(韓国屈指のカフェの街です)と組み合わせて、1泊2日の「高原と海のコーヒー旅」に仕立てるのが、いまの韓国の若い世代の定番コースです。
「仙人の遊び場」で涼む──東海・武陵渓谷という穴場
江原道の東海(トンヘ)市にある武陵渓谷(ムルンゲゴク)は、日本のガイドブックにはほとんど載っていない、とっておきの避暑地です。その名は「武陵桃源」、つまり桃源郷に由来し、古くから「仙人の遊び場」と呼ばれてきました。数千人が座れるといわれる一枚岩の花崗岩「盤石(バンソク)」の上を、透きとおった渓流が滑るように流れていく──その光景は、韓国の他のどこにもありません。かつては新羅の学者や朝鮮時代の書家たちが岩肌に詩を刻んだ場所でもあり、涼と風流がひとつになった、韓国の「原風景」のような渓谷です。
渓谷沿いの遊歩道は木陰が続き、真夏でも空気はひんやり。奥へ30分ほど歩けば龍推瀑布(ヨンチュポクポ)の滝壺に届きます。週末は地元の家族連れが浅瀬に足を浸してにぎわいますが、平日の午前中ならほとんど貸し切りのような静けさ。東海市へはKTXで江陵からひと駅、束草・江陵の旅に半日足すだけで、観光地化されすぎていない「本物の避暑」に出会えます。
済州島は、海だけじゃない──サリョニの森と万丈窟
成田・関空などから直行便で約2時間半。「韓国のハワイ」と呼ばれる済州島(チェジュド)というとエメラルドの海を思い浮かべますが、夏の済州で本当に心地よいのは、実は「森」と「洞窟」です。島の中山間部、漢拏山(ハルラサン)の中腹にあるサリョニの森は、杉やヒノキの並木がどこまでもまっすぐ続く全長約10kmの散策路。標高が高いぶん、海辺より体感で数度は涼しく、木漏れ日の中で聞こえるのは鳥の声と自分の足音だけ。済州の人々が「癒しの森」と呼び、霧の日にわざわざ訪れる人がいるほど、天気さえも景色に変わる場所です。入口から30分だけ歩いて引き返しても、十分にその静けさを持ち帰れます。
さらに涼を求めるなら、世界自然遺産の溶岩洞窟・万丈窟(マンジャングル)へ。総延長7kmを超える世界最大級の溶岩洞窟で、公開区間の内部は年間を通じて11〜21度。真夏でも上着が欲しくなる、自然がつくった天然のクーラーです。汗が引いていく感覚を、ぜひ体験してみてください。
竹の風が通り抜ける──潭陽・竹緑苑の緑陰
韓国の南、全羅南道の潭陽(タミャン)は、「竹の郷」として知られる小さな町です。町の中心にある竹緑苑(チュノクウォン)は、約31万㎡の敷地にモウソウチクの竹林が広がる散策園。頭上を覆う竹の葉が日差しをさえぎり、園内の体感温度は外より4〜7度低いともいわれます。竹と竹の間を風が通り抜ける音、さらさらと鳴る葉擦れ──「緑陰(ノギム)」という言葉の意味を、全身で理解できる場所です。
潭陽へは、KTXで光州(クァンジュ)まで約2時間、そこからバスで40分ほど。竹林のあとは、2km以上続くメタセコイア並木道を歩き、名物のトッカルビ(韓国式ハンバーグ)と竹筒ごはんを。ソウル・釜山とはまったく違う、韓国の「田舎の夏」がここにあります。日本人観光客がほとんどいないぶん、旅の記憶はいっそう自分だけのものになるはずです。
ソウルにいながら、静けさへ──恩平韓屋村と北漢山
遠出の時間が取れなくても、静かな時間は諦めなくて大丈夫。ソウル市内の北西、恩平(ウンピョン)韓屋村は、北漢山(プッカンサン)の緑を背にした韓屋(伝統家屋)の街並みが美しいエリアです。地下鉄3号線の旧把撥(クパバル)駅からバスで10分ほどと、明洞や弘大からでも1時間かからない距離。それでいて北村韓屋村ほど観光客が多くないため、朝の時間帯なら、瓦屋根の連なりと山の稜線をほぼ独り占めできます。
このエリアの楽しみは、なんといっても「山を眺める韓屋カフェ」。大きな窓いっぱいに北漢山の岩峰が広がる席で、冷たい伝統茶やパッピンス(韓国式かき氷)をいただく午後は、ソウルにいることを忘れるほどの静けさです。隣接する津寛寺(チングァンサ)まで足を延ばせば、渓流沿いの参道はさらにひっそり。「都会の真ん中で、自然に息をつく」──ソウルっ子の上手な夏の過ごし方を、そのまま体験できる場所です。
いつ行く?夏の韓国、日本人のための旅のヒント
時期選びには、少しコツがあります。韓国の梅雨(チャンマ)はおおむね6月下旬から7月中旬で、日本より少し遅れてやって来ます。それが明けると、韓国で最も暑いといわれる「三伏(サンボク)」の季節。7月末から8月初旬は韓国国内の夏休みとも重なって、ビーチや避暑地がいちばん混み合います。日本のお盆休みにあたる時期も、韓国側の混雑はすでに峠を越えつつあるので実は狙い目。人の少なさを最優先するなら、梅雨明け直後の平日か、8月下旬〜9月初旬の「残暑の旅」がおすすめです。海はまだ夏の顔をしていて、人波だけがすっと引いていきます。
持ち物では、日傘と帽子に加えて「薄手の羽織りもの」を一枚。韓国の地下鉄やカフェの冷房は日本より強めに効いていることが多く、万丈窟や大関嶺のような避暑スポットでは屋外でも肌寒く感じます。街歩きはT-money(交通カード)とスマホの地図アプリがあればほぼ困りません。地方への移動はKTXの事前予約が安心です。
そして三伏の時期に韓国の人々が食べるのが、参鶏湯(サムゲタン)。「熱を熱で制す(以熱治熱)」という、いかにも韓国らしい夏の知恵です。渓谷で涼んだあとに熱々の参鶏湯で汗をかく──そんな緩急も、この国の夏の楽しみ方のひとつです。
夏の韓国を旅する髪のために
ところで、夏の韓国旅行でいちばんダメージを受けるのは、実は髪かもしれません。強い紫外線、噴き出す汗、高い湿度、そして冷房の効いた室内との乾燥の落差。うねり・広がり・頭皮のベタつきが一度に押し寄せる環境です。訪韓日本人のおよそ6人に1人が「美容・健康」を旅の目的に挙げる時代──せっかく美容の本場を歩くなら、旅の間の髪こそ整えておきたいところです。
韓国の女性たちが旅先でも欠かさないのが「アウトバス(洗い流さない)ケア」。朝、髪をまとめる前にオイルやバームをなじませて、紫外線と湿気から髪表面を守る膜をつくっておく。夜は汗をかいた頭皮をきちんとリセットする。この二つを守るだけで、旅の後半も写真の中の髪が変わります。旅支度の小さなポーチに、頼れる一本を忍ばせておきましょう。
旅のポーチに。KEMAの人気アイテム

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KEMAが受け継ぐ、韓国の美意識
にぎわう海辺も、誰もいない森の小道も、韓国の夏はどちらも本物です。大切なのは、熱気と静けさのバランスを自分で選ぶこと。KEMAが掲げる「秩序・均衡・調和」という哲学も、同じ発想に立っています。水分と熱の均衡を捉える湿熱発想、先進のリポソーム技術で成分を髪の深部へ届ける処方──髪もまた、揺らぎやすい夏こそ「均衡」を整えることで、美しさを保てるのです。涼を探す旅の相棒に、韓国生まれのヘアケアを。